介護支援専門員基本テキスト
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発生した際には、最大限の機能回復を促す、③障害が残った場合には、残存機能の活用、補助具の活用、環境調整などにより、できる限り自立した生きがいのある生活を送れるように援助する、④以上により、家族や社会の介護負担を軽減し、活力ある社会を実現する、という重要な役割を担っています。リハビリテーションは、その果たす機能と時期から、予防的リハビリテーション、治療的リハビリテーション(急性期・回復期)、維持的リハビリテーションに分けられます(図表8-2)⚕)。治療的リハビリテーションは医療保険制度のもとで、維持的リハビリテーションは主に介護保険制度のもとで提供されます。2000(平成12)年に介護保険制度が創設された際に、「リハビリテーション前置主義」の概念が提唱されました。すなわち、①医療保険のリハビリテーション医療サービスを十分に実施し、要介護状態を軽減したうえで介護保険に移行すべきである、②介護保険の利用に際し、要介護度を改善もしくは維持するために必要なリハビリテーション医療サービスは、他のサービスに優先して利用できるしくみを構築すべきであるとする考え方です⚖)。高齢者のケアにおいては、常に「リハビリテーション前置主義」の考え方に則り、適切かつタイムリーにリハビリテーション医療サービスを活用して、要介護状態の予防、軽減を積極的に図ることが大切です。以下、各時期におけるリハビリテーションについて解説します。予防的リハビリテーション治療的リハビリテーション維持的リハビリテーション健康増進急性期リハ維持期リハ終末期リハ回復期リハ介護予防介護保険医療保険介護保険老人保健事業介護予防事業傷病の急性発症要介護認定■図表8-2リハビリテーションの流れ(1)予防的リハビリテーション高齢化の進行とともに要介護者が増加するなかで、限られた社会資源を効率的に活用して要介護状態の発生を予防し、また、要介護者の活動性とQOL(生活の質)の向上を図ることは重要な課題です。そのためにリハビリテーションは、大きな役割を果281第8章ケアにおけるリハビリテーション第4編第7章第4編第8章第4編第9章第4編第10章第4編第11章第4編第12章

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