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「老化は脚から始まる」と言われる。年齢とともに階段の上り下りがきつい、立ち上がったときに痛むなど、ひざや脚の衰えを実感する中高年も多いのではないだろうか。そうした脚の衰えやひざの痛みを、老化現象だからと放置しておくと、変形性関節症が発症していることがあるから注意が必要だ。
変形性ひざ関節症は、中高年に大変多い病気である。しかも、進行すれば、脚が変形して日常生活が不自由になりかねない。そこで亀戸大島クリニック院長・飯島治先生に、原因と対策について伺った。
「身体の関節部は力の集中しやすい部位ですから、加齢とともにいろいろなひずみが生まれ、痛みを起こします。その中でもひざの軟骨がすり減ったことによって起こるのが変形性ひざ関節症です」

中高年の場合、変形性ひざ関節症の誘引となるのは多くは老化による。人間は一生のうちで、地球5週分もの距離を歩くという。しかも脚には、一歩踏み出すのに体重の3〜4倍もの力が加わる。階段の上り下りではさらに加わる力は強く、体重の6〜7倍もの負担がかかる。
「中高年の方は必然的にひざを酷使しています。ですから、だれに変形性ひざ関節症が起こってもおかしくありませんが、特に注意して欲しいのは中年太りしている場合です。体重が重いとひざに余計に負担がかかるので発病しやすくなります」
加えてO脚や扁平足など、もともと脚に変形のある場合にもひざへの衝撃が大きく、余分な負担の蓄積がたたって関節軟骨が減りやすい。
その他、ひざをねじることの多いテニスやスキーなどのスポーツを長年続けたり、山道を歩き回ったり、重い荷物を運ぶといったように、仕事で脚を激しく使ってきた人にもかかりやすい。また、痛風や関節リウマチなどの持病のある場合や、ひざ周りのケガが引き金になって発病することもある。

変形性ひざ関節症はどんなメカニズムで起こるかというと、ひざは主に曲げるときには大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、伸ばすときには膝屈筋(ひざくっきん)に引っ張られて動く。さまざまな誘引によって、これらの太ももの筋肉が、ひざの骨を支えきれなくなって発症する。
「ひざの骨は、厚さ2〜4ミリという薄く柔らかい軟骨で覆われていて、骨と骨との間のクッションになっています。太ももの筋肉の支えが弱まると、骨同士の摩擦が強くなって軟骨がすり減り、いろいろな症状が起きるようになるわけです」
軟骨には神経が通っていないので、すり減っても痛みを感じない。しかし、そのうち炎症が起きて痛みを生じ、熱を持ったり、水がたまるという形で進行していく。

変形性ひざ関節症の特徴は、初期の段階では強い自覚がないことである。初めのうちは、朝起きて歩こうとすると、ひざがこわばったりするが、せいぜい4〜5分たつと解消する。正座のときに軽く痛むようになったりもするが、しばらく楽な姿勢をとると治まる。
「軽い症状が出たあと自然に治まり、また出るといった時期が、人によって1〜2ヶ月から長いときには数年続きます。その間、実害がないので気にとめずに過ごす方が多いのですが、自覚はなくても症状は進行しており、痛みはだんだん強く、取れにくくなっていきます」
やがてひざが真直ぐに伸びなくなり、動きに不自由を感じるようになる。そうなると、自分で湿布しているくらいでは痛みも取れなくなるので、受診するというのが一般的にたどる経過である。
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もし、変形性ひざ関節症になった場合、治療法としては痛みや腫れを和らげるため、飲み薬や外用薬が処方される。また、軟骨を保護し、修復する効果を期待して注射による治療も行われる。ひどく進行した場合は、人工ひざ関節手術をするという方法もある。しかし、何より大事なのは自分で行う運動療法である。
「身体を動かさないで、薬や注射に頼るというだけでは、この病気はよくなりません。適度の運動をすると軟骨の組織が活性化するので、痛みや腫れの緩和にもつながりますし、進行を食い止める効果もあります」
ひざの痛みが出てくると、痛いところをかばって身体を動かさなくなる。炎症が起こっているときは安静も大事だが、ずっとそのままでいると筋肉は萎縮して、ますます悪化するという悪循環に陥ってしまう。
「治療中の方であれば主治医とも相談しながら、できる範囲で少しずつひざのストレッチをし、太ももの筋肉を鍛えて欲しいと思います」

太ももの筋肉を鍛える運動は、予防にもつながるから、まだ発症していない人にもすすめたい。日ごろから習慣づけておけば万全である。また、もっと体力に余力のある人なら、スポーツを始めるのもよい。
「ひざに負担がかからずできるスポーツとしては、ウォーキング、水泳(水中歩行はよい運動療法)、ゲートボール、平坦なところを歩くハイキングやゴルフなどがあります。ジョギングのようにひざへの衝撃のかかるもの、ひざをひねるような運動は好ましくありません」
その他、予防するには体重を増やさないことも大事である。体重が2キロ増えれば、歩くときのひざへの負担は6〜8キロも増える。肥満は生活習慣病にかかる可能性を高めるだけでなく、ひざにとっても大敵。太り気味の人は、食事のコントロールも試みよう。
「老化ですり減った軟骨は、元には戻りません。しかし、炎症を起こす前に予防したり、痛みを軽い段階で止めることはできます。それにはご自身の自覚と行動が大切。自分のひざは自分で守る。治療も予防もそう思うことから始まると思って欲しいです」
痛いから何もしない、歳だからできないではなく、日常生活でもこまめに身体を動かそう。いくつになっても、充実した生活を送ることは、だれもが望むことである。しかしそれは健康で、思うところへ行ける脚がなければ実現しない。楽しく身体を動かしながら、健脚を維持したい。
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