porta 2017 #027
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いう齊藤俊一さんは、ここでは会員1年目の新人さん。翌週、スーパーで行われる包丁研ぎに備えて砥石の準備真っただ中だ。 NPOからの依頼でカウンターテーブルをつくったり、盆踊りのやぐらを組むなど、自治会からの依頼も多いそう。仕事を終え、仲間と1杯酌み交わすことができるのもまた楽しい。会社や肩書きぬきで付き合える仲間と出会えたことも彼らにとって人生の大きな財産のようだ。交換で200円〜などほぼ無償に近い。それでもみんながイキイキと仕事ができるのは、必ず「ありがとう」と喜んでもらえるから。「作業が終わるとすごく喜んでくれるんですよ。これが生きがいです」(林さん)「ありがとうのひとことが、心の支えです」(茂木さん) お金ではなく、人のために役立っていると実感できることが何よりの喜びだと口を揃えて言う。 一方で「ものづくりは人づくりだと思っています」と話すのは岸英雄さん。「ものをつくることでいい人たちとの出会いがあります。いろいろなことにチャレンジする度に人付き合いが増えて来て、それがまた楽しいんですよ」。 依頼者が気兼ねなく頼めるというのも検定という資格があるからこそ。東日本大震災のときボランティアで何度も東北に足を運んだ林さん。「東北の人は人見知りが多いのですが、この資格をもっていたことで、受け入れてもらいやすかったと思います」(林さん) 74歳まで会社勤めをしていたと話しをしながら取材の合間にあっという間に木彫りのうさぎが完成。切り抜いた部分は置く角度により、うさぎにもカンガルーにもなる。いろいろなアイデアを考えるのがまた楽しいのだそう包丁研ぎのイベントに向け、準備に追われる齊藤俊一さん(75歳)自宅の桜の木を切ってコースターも作っている自分がつくったものを誰かにプレゼントし、それを手にしたときのパッと輝く表情を見られるのが幸せですね(岸英雄さん・71歳)取材・文/富山閣子 撮影/筒井聖子ハウスメンテマスター検定☎045-459-6358

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