porta 2016 #023
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 2016年春に長年勤め上げた福祉関連施設を定年退職。これまでのキャリアから、多くの誘いがあったものの、それをすべて断り、今は3人の暮らしをエンジョイしている小沢さん。「今までがむしゃらに仕事をしてきたけれど、すべてをリセットして、次のことはまたゆっくり考えていくつもり」と言う。その第一弾が、3人での2週間の北海道ドライブだ。「これまでも年に1度は2泊3日程度の旅行をしてきましたが、明日翔も自分も元気なうちに、ゆっくり旅行を楽しみたい。できるだけいろんなものを見せてあげたいと思ったんです」。 北海道旅行のあとは、車イスでもラクに入れるように玄関などをリフォームしたい、震災のあった熊本へのボランティアも…と目を輝かせる小沢さん。ゆっくりしたいと言いつつも、いつも前向きな志向は止まることを知らないようだ。 昼下がりの散歩では、明日翔さんを中心に、絶えず笑顔。「あーちゃんが笑ってくれる時が、一番の幸せ」と、時には道化役を演じながら、家族の時間を大切にしているよう。  長年福祉の現場の第一線で活躍し、いくつもの福祉施設を立ち上げてきた自身の経験から「施設」を作ることは目的ではなく「手段」、そこで何をしていくかが大切だという考えを持つ小沢さん。それは新たな「家庭」づくりにも活かされている。「明日翔と2人だけで暮らしている時もそれで十分幸せだと思っていたけれど、3人ならもっと心強い。特に自分や娘が病気の時には、結婚して良かったと実感します。そして、明日翔が寝たあとや、起きる前の時間に、コーヒーを飲みながら2人でゆっくり語りあう時間も幸せ」と話す美智子さん。2人の出逢い、多くの人との出逢い、その「縁」という目に見えない大きなものを大切にし、感謝しているのだという。 自分がひと回り以上も年上だから…、もう歳だから…と、マイナス思考で悩むのではなく、3人でいるのが幸せだからと自然な流れで結婚を決意したという小沢さんの選択は間違っていなかった。60歳の結婚で見つけた3人それぞれに居心地のいい「居場所」で、3人の幸せの形を実現している。定年退職で第3の人生スタート結婚で見つけた幸せの「居場所」近くの河原まで散歩。「北海道旅行、もうすぐだね」「楽しみだね」。3人の会話は尽きることがない

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